ミネルバ事件から見る韓国社会
先日、インターネット掲示板に虚偽の情報を書き込み、現李明博(イ・ミョンバク)政権に対する批判を繰り返したということで、ハンドルネーム「ミネルバ」のパク容疑者(31)が、緊急逮捕されるという事件がありました。
問題となったのは、「Daum(ダウム)」というポータルサイトの、「アゴラ」という討論掲示板ですが、Daum(ダウム)というと韓国では「Naver(ネイバー)」の次ぐくらいに有名な(しかも表の…)サイトなので、「そこでこんな事件となるような書き込みが繰り広げられるとは…」というのが正直な感想です。
パク容疑者は無職の男性なのですが、自分の履歴を詐称し、いくつかの経済事件に対する予言を的中させたことをきっかけに、「経済大統領」とまで言われ、崇められるようになっていたのですが、市場経済の為替レートのウォン安の問題に対して悪質な書き込みをして、政府に現実的な損害を与えたことが原因となって、今回の逮捕になったようです。
この事件を中心としていくつか韓国社会について、(個人的に感じる…)特徴を3つ挙げてみようと思うのですが、まず始めに、現状の韓国社会や政府に対する不満が、「ミネルバ」のような崇拝的な改革人物を登場させる土壌になっているということが挙げられます。ただ、これは韓国だけでなく、社会構造の中で人々の疎外や不満意識が高まるとルターやマルクスのような革命家が現れやすくなる、ということは社会学的な常識ではあります。 それだけ韓国社会がいま厳しいということですね… (ー。ー;
2番目として、ちょっと日本人や今の若い人にはピンとこない話だと思うのですが、韓国社会の中に左翼(共産主義)的な勢力がかなり強くあって、インターネット掲示板が彼らの活動の中心舞台の一つになっているということです。ミネルバ事件も、かなり左翼の中での支持層があったそうです。左翼が強いのは共産主義国家である北朝鮮の影響だと思いますが、彼らの目標は共産主義革命を起こすことなので、現状政府の力を弱めよう弱めようと、水上・水面下の妨害活動を行います。彼らの原動力は、「疎外感」「不信感」「不満」「怒り」などですが、インターネット掲示板は彼らの波長とシンクロしやすい傾向があるらしく、ソウルでデモやキャンドル集会などを扇動するときには、よくインターネット掲示板が使われたりしています。
最後に、韓国国民は「住民登録番号」という「国民ID」が一人一人に与えられていて、掲示板に書き込むためには、このIDを登録してユーザーIDを取得した上で書き込まないといけないようになっています。ハンドルネームとはいえ、公共機関からは自分の情報が丸見えなのにも関わらず、しかし、誹謗中傷などの書き込みが後を絶たない、という状況です。違法ダウンロードの問題もそうですが、社会的なモラルが確立されるまえに、高度なインターネット社会が構築されてしまったという歪みが、韓国社会には存在すると思います。また、IT社会によって国が発展したという認識から、インターネット的なものを神聖視する傾向が日本よりも強くあり、そこから生まれる現実感の喪失、善悪基準の欠如など、日本も同じような課題を抱えていますが、韓国もそのあたりが改善されていかなければならない、と思わされます。
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